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ビワ療法の魅力と今後の医療

座談会:神谷富雄先生/恒川洋医師/垣内晶代院長

ビワの葉療法を基本に健康推進の情報提供を目的に発刊された本紙が第100号を迎えることができました。普及会会員並びに読者の皆さまに心から感謝申し上げます。
記念すべき今号は特別企画としてビワの葉療法に造詣の深い専門家による座談会特集としました。
出席者は、ビワの葉療法愛好者の間ではバイブル的存在『ビワの葉療法全書』の著者である自然療法家・神谷富雄先生、東海ホリスティック医学振興会会長として現代における養生のあり方を提唱、推進しておられる恒川洋医師、ビワ温灸をメーンにした治療、普及で実績をあげておられる鍼灸師・垣内晶代院長の三氏です。

神谷富雄先生

恒川洋医師

垣内晶代院長

神谷富雄 先生
(かみや とみお)

恒川洋 先生
(つねかわ ひろし)

垣内晶代 院長
(かきうち あきよ)

1938年東京生まれ。早稲田大学(政経)卒業。日本指圧専門学校卒業。放送大学卒業。ビワの葉温灸療法で自らの健康を回復したことから、昔から伝えられたビワの葉療法などの民間療法や鍼灸、指圧療法に関心を持ち研究に励む。そして自然的な手法で自然治癒力を養うビワの葉療法などの自然療法の普及、紹介に尽くし現在に至る。
その間、長寿と食文化にも関心を抱き、旧ソ連のコーカサス地方、パキスタンのフンザ、南米エクアドル・ビルカバンバなどの世界三大長寿村や、東洋医学のメッカ中国、台湾、韓国、インドにも調査のため歴訪する。著書に『ビワの葉療法全書』『ビワの葉温灸ツボ療法』『ビワの葉療法の秘密』(共著)『ビワの葉温灸療法のツボ』がある。

1948年名古屋生まれ。73年、昭和大学医学部卒業。医学博士。国立名古屋病院、名鉄病院消化器科部長を経て、90年、恒川消化器クリニック副院長。
日本消化器病学会評議員、日本消化器内視鏡学会評議員、日本レーザー医学会会誌元編集委員。
91
年、東海ホリスティック医学振興会を設立、会長就任。患者、家族、医療者、療法家などの交流の場として、ホリスティックな医療・健康に関するセミナーや講習会、教室を開催し、常に新しい情報を発信している。編著書に『現代養生法ガイド』(新日本法規出版刊)、著書に『ガン治療に?を感じた時に読む本』(ライフ企画刊)等がある。

鍼灸師。
明治東洋医学院専門学校卒業。関西医科大学付属病院・心療内科講座研究生。あき療法院主宰。
兵庫県鍼灸師会、日本心身医学会、心療内科学会、日本慢性疼痛学会に所属。
心身共に癒される治療を目標に、あき療法院での治療および大学病院の心療内科でも治療と研修を重ねている。
また、温熱びわ療法師の育成にも力を注いでいる。国立視覚障害センターなどでも、ビワ温灸の講義をし普及活動も行っている。

  • お陰様で月刊『ビワと健康』が今月で第100号を迎えることができました。今回は100号特別企画として、ビワ療法に関りの深い先生方にお集まり頂き座談会を開かせて頂くことになりました。
    本日、司会を務めさせて頂く編集長の峠です。よろしくお願い致します。
    当普及会では各先生方には日ごろからお世話になっておりますが、意外にも一堂に会する機会はありませんでした。プロフィール等はご存じかと思われますが、まずは簡単に自己紹介と近況をお聞かせ下さい。

    神谷先生:100号記念おめでとうございます。私は長年、ビワの葉と棒もぐさを用いたビワの葉温灸療法という家庭療法の普及活動を行ってまいりましたが、昨年12月に一区切りつけ、現在はフリーな立場で充電期間を過ごしております。

    恒川医師:医師として通常の西洋医学の診療を行うとともに療養ということに力を注いでいます。
    療養には、治療の部分と養生の部分がありますが、養生には息(呼吸)の養生や食の養生、体の養生としてビワ療法等様々な療法を取り入れています。中でも重要視しているのが心の養生で、心のもう少し奥にある潜在意識まで含めた養生を指導していますが、最近ようやく周りの人たちも理解を示すようになり、患者さんも主体的に関わる時期が来たかなと感じています。
    12年前に東海ホリスティック 医学振興会を立ち上げた当初は、私自身が躍起になって、この、人間やものごとを丸ごと見つめる新しい医療を推進していましたが、徐々にボトムアップされ、スタッフも患者さんたちも意識が随分と変わり、今では患者さんや家族が何を行なうか自主的に選択できるまでになりました。
    ここに至った段階で新たに医師がどうかかわるのかというテーマが生じており、ほかにも警察から医師法に絡むオウム事件の相談をうけたり、マスコミを賑わしている医療ミスの裁判の渦中にある人に会ったりと偶然と思えない事柄が重なって何か転換点に立たされている気がする、そんな近況です。

    垣内院長:ビワ療法に携る者としてあこがれの両先生と同席させて頂いていることにとても感謝しています。
    私は、8年前、芦屋に「あき療法院」というビワ温灸専門の治療院を開設しました。2年前からは縁あって関西医大の心療内科で専攻生として入らせて頂き、主に慢性疼痛の方々の治療に当たっています。
    関西医大で2年もやっていますから、ビワ温灸を理解し評価する医師も増えてきました。10年間、慢性疼痛が治らなかった患者さんが、ビワ温灸をうけて職場復帰されたり、完治しないまでもビワ温灸をうけていれば何とか普通に生活していけるなど、私が担当させて頂いた半数くらいの方々が改善しており嬉しく思っています。
  • 垣内先生のビワ温灸は、温圧器を同時に複数個当てられるそうですね。

    垣内:以前は棒もぐさを使っていましたが、病院で行なうには煙の問題があって今は利便性の高い電気式の温圧器を使っています。電気式だと通常、温圧器は両手に1個ずつ持って行ないますが、私はその2個をジョイントさせたものを左右に持ち4個同時に当てたりします。だいたい二刀流で当てていますね。

    神谷:7〜8年前になりますが葉っぱと棒もぐさで当てるやり方でも、棒もぐさを8本使ってガンの患者さんばかり対象に相当実績をあげた方がおられます。ただ、それは治療師が行なうことであって一般の方が安易に真似すると問題です。体に与える影響とか知識がないわけですから・・・。
    垣内先生のように治療師が行なう、あるいは医師の監督のもとで行なうという場合と家庭療法として行なうのでは同じ器具であっても扱い方が違ってくると思いますね。
  • ビワ療法との出会い、魅力についてお聞かせ下さい。

    神谷:ビワ療法との出会いは自分の椎間板ヘルニア(腰痛)です。サラリーマン時代、突如動けなくなってしまって縁あってビワの葉温灸をうけたのですが、正直な気持ちこんなもので痛みが取れるものかと半信半疑でした。3日間は変化はなかったのですが、4日目から痛みが緩解してきたのです。そうなると俄然真剣になり結局9日で良くなりました。
    病院のレントゲンでは変化は見られないのに、確かに痛みが消えた。医学的に説明はつかないのですが自然の理に適った療法であることを実感したのです。そこから科学的、学問的な裏付けが必ずあるはずだと思い私なりに追求を始めたのです。
    初めは、これを仕事とすることに反対する人もおられました。当時の私は人を救おうなどという崇高な考えはなく、なぜ、こんな素朴な療法で痛みが消えたのか、ビワ療法に秘められた魅力に引き込まれたのです。
    ビワ療法について色々探るなかで多くの先生方にお世話になり沢山のことを学ばせて頂きました。
  • 恒川先生は以前、末期ガンの痛みを抑える手段としてモルヒネの代わりにビワ温灸を用いられないかと提案しておられました。
    数ある自然療法の中からビワ療法を導入されているのには相応の理由があるかと思われます。出会いと魅力についてお願い致します。


    恒川洋医師恒川:最近はペインクリニックとか発達して痛みに対して随分対応ができるようになってきましたが、十数年前まではモルヒネの注射が多かったですね。
    私の本の中でも紹介しましたが多発性骨髄腫という血液ガンの一種を患った女性と出会ったことで、自然治癒力のなんたるかを教わりました。ビワ療法もその女性の口から聞きました。
    全身激痛のため救急車で病院に担ぎこまれたとき、彼女の体には頭の先から足の先まで無数のガンが巣くっていました。当然、即時入院が言い渡されたのですが、医師がカツラを持参するよう勧めたそうです。理由を尋ねると、このままだと一週間、あるいは一ヶ月しかもたないので強力な抗ガン剤を投与しなければならず、そうなると副作用で髪の毛が抜けるからとのことでした。彼女は「髪の毛の無い自分なんて考えられないから嫌です」と答え、これには医師もびっくりしたそうです。「髪の毛と命、どっちが大事なんですか」との問いにも、きっぱり「髪の毛です」と答え、タクシーで自宅に帰ってしまった。
    その日から自然療法を始め、私が出会ったのは1年が経過したときでした。彼女が行なった療法にビワ温灸があり「痛いときはビワ温灸がとてもよく効いた」と話しておられました。私自身の体験ではないけれど、ビワ温灸は特にガンの慢性疼痛に有効であると知ったわけです。彼女は西洋医学は一切やらず、漢方もやらず、食養生や呼吸法など自然療法だけを徹底的にやりました。発症時には全身に無数にあった腫瘍が、私が診たときには腰椎と仙骨の二ヶ所のみであとは全部消滅していたのです。彼女と出会って病気は我々医師が治すのではなく治癒力によって治るものだと気づかされたのです。彼女に会っていなければホリスティック医学の世界に足を踏み入れていなかったかもしれませんね。
    それと、もう一つ。彼女は玄米菜食を続けていましたが、体の調子が良いのでつい食事療法がおろそかになったりして、最終的には数年後に再発で亡くなられてしまいました。最後まで西洋医学の治療を拒み、モルヒネも使わずビワ温灸をしていましたが、ある程度進行するとビワ温灸だけでは耐えられない。痛みを訴えて夜中にも電話がありました。やむを得ずモルヒネを勧めても嫌だという。結局、里芋パスタとかコンニャク湿布とか、体をさすったりとか家族が手当てしたのです。亡くなりましたけど、自然死でした。
    対談風景私は初めて自然死というものを目の当たりにしました。薬物を一切使っていませんし、点滴すらしていないので段々と弱って食欲もなくなり、体の衰弱とともに痛みが和らいで、ある朝、スーッと逝かれたのです。
    我々、西洋医学の医者は最後の最後まで治療を行なって亡くなる時期をずるずる引き延ばし、かえってわけの分からない苦しみを与えているという現状がある。どんな痛みもモルヒネをポンと打てば一瞬にして痛みを抑える力はある。すごい医学ではあるが依存性が出てくると、本来病んでいるところが修正される前に別の症状が歪んだ形で出てきてしまう。
    彼女は治癒力というものを見せてくれたのです。

    神谷:そういう出会いは、あれっと思っても多くは素通りしてしまう。「特別なケースだろう」とか判断して。恒川先生が気づきを得られた理由は何だったんでしょうか。

    恒川:元来、私は消化器ガンの専門なんです。
    少し前までは、消化器ガンには抗ガン剤も放射線も効かず、唯一有効な治療は手術だけでした。早期発見でうまく摘出できれば助かるが、進行ガンで手術ができないとダメなんです。だけど、他に方法がないから抗ガン剤を使う。抗ガン剤は効かない、副作用も強いと分かっていても何も治療しないわけにはいかない。また、大学関連の病院だと新しい抗ガン剤の割り当てというものがあり、効果を研究する目的で使用するのです。現在なら、本人の意志を確認し厳しく行われますが、20年くらい前だと情報開示もされず病院側の都合で行っていたわけです。
    患者さん側は何も知らず、良くなると思って副作用に耐えている。でも殆ど失敗に終わる。やらない方が良いに決まっていても、それが西洋医学という医学の仕組みであり、抗ガン剤を使わないと何もしていない、医者として罪悪ということになる。『一体、我々は何をしているんだ』という忸怩たる思いを抱いていた時、ちょうど彼女に出会ったのです。
  • 垣内先生の治療院を取材したとき、てっきり鍼灸をメーンにした治療にビワ温灸を併用しておられるのだろうと推察して尋ねたところ、「違います。ビワがメーンです」と言われたことを印象的に記憶しています。ビワ療法との出会い、魅力についてお聞かせください。

    垣内晶代院長垣内:私がビワ療法に心酔したのは自分自身で体験したからです。鍼灸師になったものの私自身がひどい冷え症で、何とか治したいと思いながらもうまくいかず、著名な鍼灸院をいくつも訪ねました。
    ところがなかなか改善されず、正直な先生は「冷え症は鍼では治らないですよ」とおっしゃられ、がっかりしました。お灸をすれば温まるだろうと考えましたが、あの小さな灸では如何ともしがたく悶々としていたところに、ある人からビワ温灸の紹介をうけたのです。
    驚いたことに1回のビワ温灸で体が温まり一ヶ月続けると治ったとは言えないまでも、かなり改善しました。
    初めは冷え症の治療でビワ温灸を導入しましたが、やがて、ビワ温灸の一番の効果はリラクゼーションにあると気づきました。
    体が温まることで心も温まる。現代人は何かに追い立てられるように生活してストレスを溜め込んでやがて病気になっている。特に病気を患っている人たちはリラグゼーションの感覚を失っています。
    ですから、うちの治療院ではビワ温灸によるリラグゼーション体験に重点をおいて治療に取り組んでいます。加えて、ビワ温灸は扱いが簡単でセルフヒーリングが可能です。せっかく治療をうけて症状が改善しても、そのあとが大切です。家庭でも体を温め、自然治癒力を高めることができるのがビワ温灸の利点です。リラグゼーション効果とセルフヒーリング効果。この二点がほかでは得られないビワ温灸の優れた特長だと思います。

    神谷:私もそう思います。よく「心地好いということは体の中で良いことが起こっているんですよ」と話します。
    とても学問的な表現ではないけれど、自然治癒力、生命力、体の免疫力を高めている。それだと思うんですよ。

    編集長・峠英世
  • 恒川先生にお尋ねしますが、西洋医学の世界でビワ療法はどの程度受け入れられているんでしょうか。
    医師だって患者さんの口からビワ療法について聞く機会はあると思いますし、本も読んでいる方もいるはずです。ただ、現実的には否定しないけれど肯定もしないという次元に止まっているのでしょうか。


    恒川:おそらく一般病院の医師の場合、10%以下だと思います。ビワ療法が古くからあるものだから逆にそれが古臭い民間療法として捉えられてしまう。ただし、個人的に体験がある人は別です。
    ビワ温灸で腰痛が良くなったりすると科学的な根拠云々ではなく体験によってコロッと変わる。それで興味をもっていろいろ調べて科学的、医学的な裏付けがあることを知るわけです。
    それでも、帯津先生や私のように実際に治療の一環としてビワ療法を導入している医師は極めて少ないと思いますね。
  • 保険診療と自由診療の線引きの難しさも影響がありますか。

    恒川:それもあります。ただ、それ以前に理解されていないことが多すぎます。西洋医学には自然治癒力という概念がなく局所的に捉えるため全体的にどう改善したとか、精神的な面まで含めてどうかなどということは殆ど評価されない。
    近代医学は人間の力によって自然を乗り越え病気を克服するという考え方だから自然に治ってしまうというのでは辻褄が合わないわけです。
    治癒力という言葉自体、医学用語にはありません。自分たちが病気を治すんだという意識は良く言えば能動的、積極的ではあるけれど、実際は大きな存在のごく一部をつついて「治った、治った」と自己満足している。全体的にその人が幸せになったかどうかは問わない。大変な手術をして後遺症で苦しめている現実があっても、やむを得ないこととして切り捨ててきたのです。
    反面、医師はシンプルな人が多いのか科学的なデータが少しでもあると簡単に受け入れます。情けない話ですがそれが現実です。しかし、いずれ医療者はホリスティック医学の方向に向かうと思います。いや、もう向かい始めています。西洋医学が行き詰まってきていますから。
    垣内先生のところのように大学病院で取り組み始めたら変わってきますよね。

    垣内:私が担当させて頂いている方々は他の科を回り尽くし、薬は効かない、注射もダメ、心理療法でも効果が得られないという人が多いんです。そういう行き詰まった環境であるからこそ、私たちの居場所があるのだと思います。
    西洋医学で治療できる範囲の症状には代替療法の必要性が認められず、医師だって患者さんに勧めにくいのが現状です。行き詰まったところで協力できるから医師にも認めてもらえる。その点、関西医大の心療内科の先生方は、「心理面の癒しがなければ病気は治らない」とおっしゃる方が多く、代替医療や自然治癒力に対する理解もあって、とても恵まれた環境下で私は勉強させて頂いています。
  • 普及会の会員には病気の人やその家族が多く、中には余命数ヶ月と宣告されている方など事情は様々です。そういう方々にアドバイスをお願い致します。
    以前、神谷先生は余命数ヶ月と言われた方から、「先生、私には時間がないんです。ビワをやって大丈夫でしょうか」と質問を受けたことがおありだと伺ったことがあります。そういう場合、どう助言してあげているのですか。


    神谷:これは難しいことですよね。現代医学という大きな学問、医療体系があって、民間療法はごく小さな存在としてある。また、治療ではないけれど食養というものもある。
    私もビワ療法とともに食養を30年近く実践してきて、さらに漢方を含めて東洋医学を私なりに見つめてきましたが、結論的にいうと今は西洋医学とか東洋医学とか食養論とかではなく、それらが統合されていく時代に入ってきたと感じています。
    深刻な相談を受けたとき、受話器を置いたら50分も話していたということはよくありました。何を話したかはそれこそケースバイケースです。ただ、悲壮な泣き声でかけてこられた方が受話器を置くときには「ああ、そうですか」と笑顔がこぼれるのが感じられる。それはもう、どの治療が正しいとかどの療法が一番だとかではなく、その方に生きる希望を持って頂くことしかないんだと思います。まして私は医師ではないし。
    ただ、垣内先生がおっしゃるように精神的にリラックスすると希望が湧いてくるのは確かですね。

    『ガン治療に?を感じた時に読む本』
  • 巷に溢れる健康本は、医師が書いたものであっても「何々を飲んだらガンが消えた」とか「治った」とか、まるで健康食品を売るための誇大宣伝のようなものが目立ちますが、それに対して恒川先生の著書『がん治療に?を感じた時に読む本』には偏りがなく、しかも闘病の末に亡くなられた方の症例がいくつか出てきます。
    こんな本は余り目にしたことがありません。まるで家族のように患者さんと接し、親身の医療を行なっている様子が滲み出ています。医師は患者さんから教わるとも書かれています。アドバイスをお願いします。

    恒川:
    本の中で紹介した十数人の方々はかなり亡くなられましたが、治すとか生かすとかということばかり考えてやっていると限界があるんですよね。どうにも仕様のない部分がある。だけど、その患者さんと西洋医学であれ民間療法であれいろんな方法を駆使しながら一緒に病気を克服していくことはできるわけです。助かる時もあるし、亡くなる場合だってありますが最終段階のプロセスを一緒に歩むことは可能です。患者さん自身で養生をし、できないことは先生にお任せするといった具合にです。
    そういうなかで患者さんから色々なことを教わる。例えば、思いがけない治癒とかです。「何をやったんですか」「これをやりました」といったやり取りから、夢中になってその療法を調べたり、専門家に来てもらったり、それを積み重ねていくことで今では数十項目のワークショップを行ない緩やかなネットをークを組んでいるのです。こういう方法を取り入れると医師も楽になります。
    例えば魚をさばくのに包丁1本だけだと大変です。小骨なんてピンセットで抜けば簡単なのに包丁で取ろうとする、現にそういうことを行なってきたのです。技術力を中心にして患者と関わる西洋医学とは異なり、丸ごとの人間力、人間性で一緒に行なう治療は確かに大変です。毎日ポテンシャルエネルギーを高く保たないといけない。患者さんは医療者に対して偏見や「やってくれない」という甘えもある。
    「そうじゃない。あなたは何をやったのですか」。養生せずに何とかして下さいといっても、それは無理です。ガチンコというんですかね。そういう関係性になったとき、そこから治癒力が出てくる。不信感を持ってやっていてもあるところまでしかいかない。民間療法のすごさは、長所であり短所でもありますがカリスマ的な人が多く「大丈夫だ」と言う。一方、西洋医学の医者は「治るかどうか分からないけどやってみましょう」と言う。馬鹿正直というか、OKと言えない。言うと科学的根拠がないと思うからですが、私はいま、末期ガンで余命一週間と言われている人にも「大丈夫だ」と言えます。
    かっては言えませんでした。うそだと思っていましたから。だけど、奇跡的な治癒を実際に見てきたことで「治りますよ。治らないと諦めることはない」という意識が私の中にあります。結果は分からない。でもサジを投げることはありません。
  • 垣内先生の治療院のスタッフはもとは患者さんだったそうですね。スタッフになるほどだから相当魅力を感じてのことだと思われます。
    患者さんにはどのように対応されていますか。


    垣内晶代院長垣内:よくガンの患者さんが電話を下さり、「あと一ヶ月と言われているんですがビワ温灸で治るでしょうか」と質問を受けますが、病気だと気分がすぐれない状態が続いているでしょうからビワ温灸を通じて一日30分でも気持ちの良い時間ができればいいと思うのです。「治るとか、長生きできるかは神のみぞ知ることですが、気持ちの良い時間を増やすことはできると思います」とお返事することが多いですね。
    ですから、玄米菜食をしておられる方でも嫌々食べているのだったら、たとえおまんじゅうでも構わないから自分の好きなものを食べることを勧めます。「好きなことばっかりしましょう」とアドバイスさせて頂くと、皆さん「そうですね。私の好きなように、自由にします」と納得されます。
  • 普及会には治療家の会員も増えてきています。糖尿病、アトピー性皮膚炎、リウマチなど低温火傷や体調好転反応などでトラブルを起こすケースもあります。
    注意点等も含めてアドバイスをお願いします。

    恒川:
    オウムの事件で協力を求められて刑事さんにさんにヨガの技法について説明していて気づいたことですが、この質問に関係があると思います。
    ビワ療法は効果もあるけれど好転反応や副反応もあるわけで、まずその知識がなければどうしようもない。個人同士、家庭療法としてやっているぶんには構わないでしょうが、治療家として導入するのであれば勉強しなければなりません。それがなければ単なる体験でしかありません。
    それと、相談できる医療者とのネットワークを持っていないと対応のしようがないと思います。自分のやっている療法だけに執着してはダメです。
    また最近は、医療者もビワ療法とかに関心を持ち始めていますが、医療者といえども知識がないまま行なえばトラブルは起きます。医者だって最低限、東洋医学の基礎を勉強するとか、双方が補いあっていかなければなりません。自信過剰は良くないけれど、研鑽を積んである程度自信を身に付けないといけないでしょうね。

    神谷:単なるビワの葉の療法であっても健康を扱うということは“いのち”の問題ですから、商業的に結びつくようになってきたとき、あるいは不特定多数を対象にするようになったときには自らを戒めていかないといけませんね。
  • 『ビワと健康』では毎回改善例を掲載しています。読者の方々はたとえ自分と同じ症例でなくても、改善した話に希望を持ち、勇気づけられるとあってよく読んでおられます。
    印象的な改善例があればご紹介していただけますか。

    神谷富雄先生神谷:印象的な改善例は本にも書きましたが、最近はあまり劇的な実例を探すということをしなくなりました。ビワ療法を普及していく立場では重要なことだと思いますが…。
    ビワ温灸を三ヶ月間やったら子宮筋腫が殆ど消えたという女性がおられました。その彼女が「3年間も玄米菜食をやったけど筋腫は全然治りませんでしたよ。だけどビワ温灸やったら見る見る小さくなった。ビワって本当にいいんですね」と話すんです。私は、「そう、よかったですね。だけど、ビワ温灸を三ヶ月やったから治ったかどうかわかりませんよ。3年間、玄米菜食を続けて、さらにビワ温灸を三ヶ月やったから良くなったということじゃないんでしょうか。だから、玄米菜食は続けて下さいね」と助言させていただきました。
    いずれにしても、これからは劇的な改善例を取り沙汰しなくとも底辺の拡がりに伴ってどんどんと出てくる気がします。
  • 神谷先生がおっしゃるように様々な要素が合わさって改善されることが多いわけで自分がビワ療法をやっているからといってビワばかり特別視したり誇張したりしては誤解を招く恐れがありますね。

    恒川:ガンという病気でも驚くほど劇的に改善する人がいます。だけどその人がとんでもなく非常識な人だったりすると、『治ったからってそれが何なんだ』と逆に思ってしまいます。
    ある男性は食道の進行ガンでした。通常のの治療なら手術、放射線、抗ガン剤の三点セットでしょうが、それを断り「一ヶ月時間をくれ」と言ってあらゆる代替治療法に取り組みました。ビワ温灸、太極拳、健康食品、その他諸々…。「一度にそんなにやる必要はないですよ」となだめるくらいやって、一ヶ月後に内視鏡でみると腫瘍がすべて消えていました。凄いことですよ、僅か一ヶ月で治ったという事実は…。
    ところが、非常につまらないことで怒って来なくなる。代替療法もやめちゃう。続けることを勧めても、「治ったからいい。ガンになったらまたやればいいんだから」と言う。並外れた集中力はあるけれど、ガンになったことが何にもなっていないわけです。ビワ温灸も食養もそうですが現象として結果が出たかどうかより、毎日毎日自分で決めた養生を積み重ねていくプロセスが大事だと思うのです。
    対談風景何かに一生懸命取り組んで、たとえすぐに結果が出なくともある段階や時期をを迎えたときに、例えばビワ温灸をやると一気に改善が進むということがある。他の患者さんに奇跡的治癒の一例として彼の内視鏡の写真を見せることもありますが、「この人は何をやったんですか?」と方法論ばかり聞く人がいます。
    毎日、コツコツ続けることが評価できるのであって、ちょこっとやって「治った治った」というのでは西洋医学的な考え方と同じです。すぐに治れば素晴らしいですが、たとえ治らなくても気づきを得ることも重要なんです。
    それにしても、一ヶ月で完全にガンが消失した例は初めてでしたし、私自身頑張っても頑張ってもなかなか結果が得られず意気消沈しかけていた時でしたから勇気づけられましたけどね。

    神谷:その男性は恒川先生を勇気づけるために現れたんですね。

    恒川:ときに劇的な人に出会わないとポテンシャルが落ちますからね。
    それからもう一つ。ガンの方が亡くなったあと、生前使っていたビワの温圧器が放置されているのは本当にもったいない話です。だから最近はガン患者さんに対して「奥さんにも当ててあげなさい」と言います。ご夫婦で当て合っていると奥さんの腰痛の方が先に改善される。良さを自分で知った人は続けますよ。
    ガンという高いハードルにいきなり挑むのではなく、日ごろからビワ温灸を活用するという意識が根づくよう普及会の啓蒙運動に期待します。
  •  いまのお話にもありましたが、普及会に対する要望、苦言等をお願い致します。

    神谷:恒川先生は以前から、今までの医療は生命の尊重だったが、これからの医療は人間の尊厳が重視されるべきと主張しておられます。
    私もそれが大事だと思います。チューブだらけになっても命を生き長らえさせるのだから確かに生命を大切にはしているのですけれど、それは人間の尊厳を考慮していることにはなりません。人間は誰でも必ず死にます。100%死にます。そう考えると医師とか治療家とかいう次元を超えて病気治しだけでなく、その人が自分の生命よりもっと尊いものを発見することに繋がるといいと思います。
    単に症状が改善したという体験例にとどまらず、本当に生きているという意味は何なのか、病気を通じて気づいたことまで含めて記事を膨らませていくと良いのではないでしょうか。

    恒川洋医師恒川: 医師でも治療家でもその人の丸ごとのキャラクターがあると思います。
    私はどちらかというと体育会系の人間ですが、かってホリスティック医療について難しく取り組んでいた時期がありました。その意識を転換するきっかけを与えてくれたのが現在75歳の男性です。この方は40年前に重度のムチウチ症を患い、くびや手足が痛みと痺れで動かせず、医療機関に通っても「治療不能」と言われていたのですが、結局自分自身で治してしまわれたんです。
    技術者ということもあり、治療に行くとこっそり電気針を触ったり舌に当てたりして加減を計り、工夫して自分専用の治療器を作ってしまったのです。
    また、リハビリのつもりで絵画や陶芸などを始められ、その独創的な絵画は八千点を数えるといいます。この方曰く、「遊び心を持って楽しくやらないとダメですよ」とのこと。
    治癒力というものは、難しい顔をして玄米を食べていても出てこない。ただ真剣に取り組むだけではなく面白がるとか、楽しむとかいう意識が大切と言われるのです。この方を見ていると創造する力が自然治癒力を引き出すように感じます。創造力イコール治癒力ではないでしょうか。
    現代人は創造する力が落ちています。自分で工夫するとか、考えるとか、創り出していこうというのではなく与えられることを待っている。言われてやっているだけだと、ある程度まで行けてもそこで止まってしまう気がしますね。
  • 垣内先生、普及会への要望をお願い致します。

    垣内:いつもていねいに対応して頂いて感謝しております。普及会に電話をした患者さんもすごく親切にいろいろなことを教えて頂いたと喜んでおられました。
    ますますのご健闘を期待しています。
  • ありがとうございます。第100号を節目にさらにお役に立てる活動、紙面づくりを心がけてまいりますので今後ともご指導よろしくお願い致します。
    本日はありがとうございました。 

『ビワと健康』 2003年9月15日号)

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